ピアニスト 松村未英 の  スペインの日々
by miematsumura
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ある午後の出会い -2-

<前回からの続きです>


そうすると、2人っきりになった途端、“ここで生まれたの?”、“いつからここにいるの?”と私に質問攻め。
そして、私に中国名を教えてくれました。周りのスペイン人からは、彼女は中国語は書くことができない、と聞いてたのですが、紙に自分の名前を漢字で書いてくれました。

ああ、周りの人には、あまり言いたくないのだなあ、と察したんですけど、とてもややこしい日本語では使わないような難しい漢字を、幼いアマンダはちゃんと書けたのです。
”日本語も、初めに苗字で、その後名前が来る順番だけど、中国もそうなんでしょう?すると、これがあなたの名前?”
と聞くと、
“さあ??それは、分からない”、と首をかしげ、どれが苗字でどれが名前なのか、分かってないようでした。

”私の松の字の木の部分と、あなたのこの字の木の部分が一緒だね。”
と指さして言うと、ちょっとにっこりしました。



ちょうどその時、その机の下に、写真の沢山入った日本の本が置いてあるのに気がついて、本を手にとってパラパラっとめくると、ちょうど、鎌倉の大仏様の写真がありました。それを彼女は目ざとく見つけて指を差し、私に聞きました。

“あ、この人は、天国にいるのでしょう?どうしてここにいるの?”

彼女の養母はカトリックなので、彼女がやって来てすぐに町の教会で彼女に洗礼を受けさせた為、一応、アマンダもキリスト教徒、と言うことになるわけです。

しかし、アマンダは、こうして大仏様のことも知っているわけで、
”マリア様も天国にいるけど像があるみたいに、大仏様も同じなのよ。”
って答えたら、納得していたように見えましたが、彼女の宗教観はこれから一体どういうことになっていくのでしょう。
よその国にもらわれて行くと、本当に全てがひっくり返ってしまうのですよね。


そして、さ、お養母さんのところに行こうか、と立ち上がって、帰ろうとした彼女は、サロンの棚に飾ってある私が振り袖を着て撮った写真を見つけ、それに、じーっ、とはりついて見入っていました。


10年ぐらい前は考えられなかったのですが、この3-4年ぐらいほど前から、中国人経営のいわゆる100円ショップ、のような店がスペイン全土で爆発的に増えました。
もう今では、どーんなに田舎の町に行っても絶対に一軒はある。と言うぐらい、移民してきた中国人の経営する“何でも屋さん”。それは、電球から洋服、梯子から鍋、ペンキからクリスマスツリーまで売ってるような店。
そして、週7日開いているような激安ショップのお店が増えたのです。


でも、こういう店を経営する中国の家族の子供と、スペインのちゃんとした家庭にもらわれたアマンダのような子供は、普通は交流を許されず、家を行き来するような友人にはなりません。というより、なれません。
それはスペイン家族が許さないからです。(例外もあるかもしれませんが)
と言うことは、アマンダは、スペイン人ばかりの中に放り込まれ、独特の疎外感を感じていると想像します。
でも、アマンダは、中国には絶対戻りたくないと、養母に何度も言っているそうで、特に来たばかりのころは、よく夜中に寝ていて、時々うなされて叫んだりしたのだそうです。


“またいつでもうちに訪ねて来ていいよ”、とアマンダの頭をなでて言うのが、私ができるせめてもの協力でした。



子は親を選べず、親も子を選べず。
あって当然と思うものは、案外そうでもない場合も多く、案外お金が沢山ある人に限って幸せをあまり感じていなかったり、家族も素晴らしいのに幸せを感じていなかったり。
どこに基準を置くかによって、不幸と幸福のバランスと言うのは、結構簡単に変わると思います。
そして、その基準で、我が子を捨てると言うのは、究極だと思います。
幸福とは何か、豊かさとは何か、と考えます。


世の中は広いけど狭く、狭いけど広いです。
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by miematsumura | 2013-02-20 08:31 | スペインの暮らし

ある午後の出会い

先日、お向かいのガレージでお向かいの人と話をしているところに、同じ町に住む女性が訪ねてきました。養子の女の子と共に。

その女の子は、1年数か月前に、中国から養子としてやってきたのでした。
この女性が養子が欲しいので申し込んでいて、いろんな書類検査等を数年かけてパスして、中国政府から晴れて養子を、彼女を引き取ることが出来たのでした。

アマンダ、とスペインの名前をつけられた彼女は、前はこの街の市長であった人の親戚の家族のところにやって来た当時、6歳でした。
小学校1年生に入るちょうど学校が始まるころやって来て、普通の街の公立小学校に入学し、多少、補修のクラスを受けながらも、クラスにもついていけて、元気に学校に通っているようです。


以前、道ですれ違ったことがあったのですが、ちゃんとお話ししたのは初めてで、アマンダは私を見たときに、びっくりして、戸惑ったような態度を取りました。
これは多分、今までいわゆる西洋人しか会ったことがないのに、突然自分と似た風貌をしたアジアの人間がいたことに、驚いたんだと思います。


彼女は、4歳の時、お店にお父さんと弟と一緒に買い物にでかけ、お父さんが “ここで待ってて、すぐ戻るから”、と言って弟と一緒にどこかに行って、そのまま二度ともう戻ってくることはなかったそうです。
そして、孤児院に入れられ、縁あって地球の反対側のスペインにまで養女として引き取られたのです。


日本にも孤児院はありますが、外国人が養女に欲しいからと言って、どこか遠い外国にまでもらわれて行くのか、そんな話はあるのでしょうか?
無知な私なのですけど、例えば、フランスやロシアの子供を養子にしたとか、マレーシアの子を養子にした、とか聞かないけど、中国人だけは見るので、中国はやはり特別なのでしょうか。
中国人の子供を養子にするスペイン家族は結構多くって、町でも時々みかけるのです。スペインの家族+中国の子供と言う組み合わせ。


引きとる側は経済的にも十分余裕があると証明できないといけないし、それ以外にも諸々条件があるようですが、小さいのに、可哀想に。言葉も習慣も全く違う国にもらわれて行くって、彼女のことを今まで道で見かけても笑顔を見たことがないのですよ。
いつも観察しているかのように心配そうな顔をしているのが印象的で、自分の人生を振り返って、両親がいる家庭に生まれて本当に幸運だったと思うし、この小さな子の幸運を願わずにはいられません。


なので、ローラースケートを履いていた彼女に話しかけ、その養母なる女性が用事をしている間に、うちを見に来る?と聞いてみると、行くと返事したので、ちょっとおしゃべりをしてみました。


<ちょっと話が長いので、今日だけでは書けないので続く>
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by miematsumura | 2013-02-17 10:01 | スペインの暮らし

鼻先にぶら下がるドレス

先週末は、バッハ、ショパン、グラナドスを弾いてきました。
北風がピュ―ピュ―吹いて、歩く道が寒かったです!!!
私はこういう時に、ふと風邪引きやすいので、戦々恐々としてました。


その数日前のこと。

たまたま通りかかった久しぶりに行くある場所で、ふと気が向いてお店に入ってみると、素敵なドレスを発見!

舞台の衣裳と言うのは、いざ買おう!と探しに行っても、気に入ったものが見つかるわけではないので、気に入ったものを見つけた時に買うのですが、イメージピッタリの素敵なのを見つけたんです。
それも3個も・・・・


こんなことはめったにないので、今度のコンサートで早速着れるかも!と、ちょっと興奮。

試着してみても、やはりいいかんじ。


で、早速買って帰ろう!と、鼻息荒く購入しようとしたら・・・・・・


”では、これからあなたのサイズを取り寄せます。” ですって。


今までは、ドレスの2-3種類違うサイズを店に置いてずらりと棚に並んであったのですけど、いわゆる“不況”になった為に、ものすごく大きいサイズ(日本でいうとXXXL、って感じです)のだけを店頭においておくだけになったのです。
それで、お客さんが試着する時はピンで留めて見ながら、どういう感じか見せます。
そして、実際に購入、となると、そのお客さんのサイズであろう、もっと小さいサイズを取り寄せて販売する、という形になってしまったようです!


がーん・・・・ なんだか面倒だな。


今までは、そのまま気に入ったら、即、買って帰れたのですが、今となっては、こんなに時間のかかることになってしまい、つまり、即日お持ち帰りはできなくなってしまった。


というわけで、新しい衣装だ!と喜んだのつかの間、手を通すことが出来るのは、もう少し先です・・・・ああ・・・
鼻先にニンジンならぬ、ドレスがぶら下がっている気持ちです・・・・
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by miematsumura | 2013-02-05 07:17 | スペインの暮らし